早く治療を始めることで重症化を防ぎましょう
関東地方では、毎年1月下旬から2月上旬にかけてスギ花粉の飛散が始まります。
花粉症は風邪や副鼻腔炎(蓄膿症)と間違えやすい病気です。風邪だと思って放っておくと、重症化して治り難くなることもあります。
花粉症かなと思ったら、早く原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。早期に治療を行うことで、症状を軽くすることができます。
スギだけではない、花粉症の原因
花粉症とは、スギなどの花粉が原因となって起こるアレルギー疾患の一種です。
関東地方では、1月下旬からスギの花粉が飛びはじめ、3月ごろにはヒノキ、5~6月にイネ科植物、8月ごろからはブタクサやヨモギなど、ほぼ1年を通じて花粉症の原因となる花粉が飛んでいます。
目がかゆいだけの花粉症もある
くしゃみ、鼻汁、鼻づまりが花粉症の3大症状といわれています。
また、激しい目のかゆみや、充血、なみだ目などの症状もあらわれます。
ただし、初めて花粉症を発症するときは、目や鼻のかゆみから起こることも多く、これらの症状がすべてそろって出るとは限りません。
一方、重症の場合、微熱やだるさ、皮膚のかゆみ、のどのイガイガ感など、全身の症状がみられる場合もあります。
花粉症の検査
花粉症は、風邪や急性・慢性副鼻腔炎と鑑別する必要があります。
血液検査でアレルギー性であるかどうかを判断し、アレルギー性であればその原因となる物質(アレルゲン)を探る検査を行います。
鼻汁や鼻づまりなど鼻の症状が主体なら耳鼻咽喉科へ、目のかゆみや充血が気になるなら眼科に行きましょう。内科やアレルギー内科を掲げているところでも診察を行っています。
初期症状のうちに対処を
花粉症は放置すると重症化し症状が抑えにくくなります。
花粉症であることが確認されたら、早めに治療を始めましょう。
毎年花粉症で悩まされている方は、症状が出ない、もしくは軽いうちに対処を始めましょう。
花粉症の症状が起こり始めたごく初期では、鼻の粘膜の炎症はまだ進んでいません。この時期に抗アレルギー剤やステロイドの点鼻薬を開始すれば粘膜の炎症を抑え、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができるといわれています。
炎症がひどくなると、花粉に対して敏感になるため、症状がより重くなってしまいます。それから薬を使っても、症状をすぐに抑えることが難しくなります。
市販薬を使うときには薬剤師に相談を
花粉症の症状を抑えるため、薬局で販売されている市販薬を使う方も多いと思います。
たくさんの種類の花粉症の薬が、薬局には並んでいます。
そのなかには、「スイッチOTC」と書いてある薬もあります。
「スイッチOTC」とは、医療用医薬品として医師の処方でしか使えなかった薬の成分の有効性・安全性が問題ないと判断され、薬局で販売できるようになったものです。
病院で診察を受けなくても病院で使われていた成分の薬が手に入るようになり、大変便利になりました。
しかし、高齢者やほかに持病を持っている人は、副作用が出やすかったり、花粉症の薬を使ってはいけない疾患を持っていることもあります。薬局では、「お薬手帳」を見せて、薬剤師に症状やこれまでかかった病気などの情報をしっかり伝えて、薬を選択すると安心です。
花粉症の根本療法「減感作療法」
抗アレルギー剤などを使う花粉症の治療は、薬によって症状を抑える「対症療法」が中心です。
一方、「根本的に花粉症を治す」または「長期にわたって花粉症の症状を抑える」ことが期待できる「根本慮法」もあります。
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)をごく少量から患者さんの身体に投与することで、身体をアレルゲンに慣らしてアレルギー症状を和らげる、「減感作療法」もしくは「アレルゲン免疫療法」と呼ばれる治療法です。
以前は皮下注射でアレルゲンをからだに入れていましたが、2014年から舌の下に薬を投与する「舌下(ぜっか)減感作療法」が保険で使えるようになりました。
ただし、効果が現れるまでに2~3年ほどの時間がかかることがあります。
また、花粉が飛んでいる時期は治療が始められません。治療を始められるのは、花粉の飛散がおさまった5月ごろから11月くらいまでです。
「 花粉症」に関する信頼できる情報は?
厚生労働省 花粉症特集
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kafun/index.html
日本医師会 花粉症のページ
https://www.med.or.jp/people/health/kahun/001435.html
鳥居薬品 アレルゲン免疫療法を知ろう