この記事は、東京大学医学部附属病院薬剤部・感染制御チームの高山和郎氏の講演「新型コロナウイルスと感染対策」をもとに構成しました。
消毒薬の簡単な作り方
室内に持ち込んでしまったウイルスは、拭き掃除で減らすことができます。
布巾や雑巾などで拭くだけでもウイルスを減らすことができますが、手すりや机など、多くの人の手が触れる頻度の高い場所は、0.05%の次亜塩素酸ナトリウムで消毒することが推奨されています。
次亜塩素酸ナトリウムは、「ハイター」や「ブリーチ」という商品名で塩素系漂白剤として市販されています。500mlのペットボトルの水に、ペットボトルのキャップ1杯の塩素系漂白剤を入れると、0.05%の消毒液ができます。
よく触れるところを定期的に
この消毒液をペーパータオルなどに十分に含ませて拭き掃除をします。
特に、多くの人が触れるドアノブや電気のスイッチ、リビングのテーブルやソファは、定期的に消毒します。トイレもこの消毒液を使って掃除できます。
スプレーボトルで直接ドアノブなどに噴射するとウイルスをまき散らしてしまうのでペーパータオルにスプレーして拭くのが良いと思います。目に入ったり、吸い込んだりすると粘膜を傷つける恐れがありますので注意してください。
また、肌への刺激が強いので、ビニール手袋をしてご使用ください。
消毒液で拭いたあとは水拭きをします。 作った消毒液は、時間の経過により効力が薄くなります。その場で使い切るようにしましょう。
北里大が消毒効果のある市販薬を公表
一方、北里研究所・北里大学は、ドラッグストアやスーパーなどで入手しやすい医薬部外品・雑貨のなかで、新型コロナウイルスの消毒効果(不活化効果)を評価する実験を行い、その結果を報告しました。
製品裏面の使い方を参考に、 ①は、手指の消毒や掃除などの拭き取りに使うことを想定した実験、②は洗濯や器具などを洗う場合を想定した実験です。
ここにあげられた製品は、「研究結果の公開に異議を唱えないことを前提として国内複数企業へ製品サンプルの提供を要請し、同意が得られた企業の製品」です。ここに書いていない=不活化効果がないということではありません。
この表に載っている製品が、実験の結果、新型コロナウイルスの不活化効果ありと認められたということです。
実験における接触時間が①は1分、②は10分となっていますが、これはあくまでの研究のための時間です。実生活の中で、毎日の手指消毒や掃除でその時間を担保するのは、現実的ではありません。でも、その時間確保できなくても、ウイルスは減るということを示しています。
実生活のなかでウイルスをゼロにするのは不可能です。でも、拭くなり、洗うなりすればウイルスは確実に減らせるのです。ウイルスをゼロにするために、毎日徹底的な消毒をしまくるのは正直無理です。続きません。
それよりも、普段の掃除の頻度を少しあげる。普段の延長上に新型コロナウイルス対策を据える。それを長く続けていくことが、感染対策につながるのです。
アルコール不足が続く中ですが、こうした製品を活用して感染予防に役立てていただければと思います。