食欲がない、食べない(認知症のある方)

<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:星野美穂>

食べないのは年のせい?

おいくつになっても健啖家、お肉も油ものもたくさん召し上がる方もいらっしゃいますが、一般的には、若いころと比べたら食事の量は少しずつ減るものだと思います。

ですが、急に食べる量が減ったり、食事に手を付けない、食べむらが出るなどがあったりしたら、「年だから」ではなく、そこには何か原因が必ずあるはずです。

認知症のある方では、食欲不振の原因となっている体調不良などを、言葉で説明できない場合があります。

また、認知症そのものが原因で「食べる」ことに障害が出ている場合もあります。

食欲不振の原因を探るポイント

  1. 体調を探るために、バイタルサイン(体温、血圧、脈拍数、酸素飽和度)などをたしかめてみましょう。微熱程度でも、食欲に影響することがあります。
  2. 排泄が滞っていないかを確かめます。特に便秘をされている場合は、ダイレクトに食欲不振として表れやすいようです。
  3. 体のどこかに痛みがないかをたしかめましょう。腰痛やひざ痛などの関節痛などが気になっていることもあります。
  4. 歯や口腔内の痛みや違和感も食欲不振の大きな原因となります。部分入れ歯の金具がほんのわずか曲がっているだけでも、噛み合わせるたびに口の中が痛くて食事の手が止まるかもしれません。
  5. 睡眠不足は、特に認知症の方では行動の変化の原因になります。強い眠気のためにせん妄(意識が正常ではない状態)を起こしている場合もあります。
  6. 服用している薬の副作用の可能性もあります。特に処方に変更があった場合などです。

介護するご家族やスタッフは、ご本人の訴えに耳を傾けながらこれらを確認し、かかりつけ医に報告して診断をあおぎましょう。

「食」に関係する環境の見直し

治療・予防には、皮膚の柔軟性を保つために、医師から処方を受けた保湿クリームをこまめに塗るとよいでしょう。ヘパリン類似物質のクリームやローションには、皮膚に適度な潤いを与え、また皮下に漏れた血液をふたたび吸収されやすくする効果があります。保湿クリームを塗った上にワセリンなどの、皮膚を保護する軟膏を塗り重ねるとさらに効果的です。きちんと保湿を行うと、皮膚の弾力が増して紫斑になりにくくなります。

認知症の深まりや視力などの衰えによって、食事(食べ物)を認識できなくなっている場合もあります。例えば、白い茶碗に盛られた白いご飯にだけ手を付けない人がいます。色のついた食器に変えることで食べることができるようになります。

また、血管性認知症や脳出血の後遺症などで半身麻痺のある方では、「半側空間無視」といって、麻痺側の視野がなくなっていることもあり得ます。食べ物を半分だけ残すといった場合、見えている側に食器を寄せるだけで、完食できるようになります。

食事形態つまり食物の固さ、大きさがご本人に合っているかも確認が必要です。噛みきれない、飲み込みにくいものはたとえ好物であっても残すことが増えます。

直接食事に関係しないこと、たとえばおむつが汚れているだけで、食欲は減退します。おむつ交換や、トイレに誘うタイミングを食前に変えてみるのも一法です。

歯や口腔内のケアの一環として、食事前に口の周りの筋肉や舌を動かし、唾液を出しやすくする「口腔(嚥下)体操」を行ってもらうことも食欲の改善に効果的です。

特定の場所に紫斑ができやすい場合は、柔らかいガーゼなどを当てて保護することも有効です。手の甲などは、手袋などの使用も

体の中からコラーゲンを補うために、食事の中の動物性たんぱく質の量を増やすことも検討してみましょう。

ご本人に尋ねることの大切さ

紫斑は、手の甲や腕といった見えやすい位置にできやすいものです。高齢者施設で暮らす方では、ご家族が面会の際に発見して「もしや暴力を振るわれているのでは」など、虐待の不安を持たれるケースもよくあります。

認知症のある方では自覚症状を言葉で表現することが難しいこともありますが、質問の仕方の工夫で、ご本人からの訴えを引き出しやすくなります。

「どこか痛いの?」と尋ねても要領を得なければ、体の各部に触れながら「ここ痛みますか?」尋ねると、うなずく動作や顔の表情を引き出せます。

「ご飯ですよ」と呼んだら「それどころじゃない、帰らなきゃ」など、認知症特有の、そ

の場にそぐわない言動が出てくることもあるでしょう。「お財布を持っていないの」など、経済的なことを気にされる言動もよく見られます。無理強いせず、ご本人の訴えに耳を傾け、気になっていることを取り除いて安心してもらうことも、対応方法のひとつです。

確かに、腕をつかむなどの行為で紫斑はできやすいです。「転ばないようとっさにつかんだ」ような場合だけでなく、「何の気なしに触れた」「ご本人が自分の腕を握った」といった場合にも簡単にできてしまうのが老人性紫斑の特徴です。

ご家族と施設の職員の間で、ざっくばらんにあざについて話し合えることが何より大切です。訪問看護師やかかりつけ医なども交え、チームで老人性紫斑についての知識を共有し、スキンケアを充実させましょう。ご本人が笑顔で暮らせていることが何より重要です。 
  

「食欲改善」に関する信頼できる情報は?

食欲不振について

厚生労働省 みんなのメンタルヘルス総合サイト 食欲不振~食事が進まない~

公益財団放任長寿科学振興財団「健康長寿ネット」 食欲不振

便秘について

日本大腸肛門病学会 便秘について

排泄ケアナビ(ユニ・チャーム排泄ケア研究所) 習慣の改善による排便ケア

せん妄について

MSDマニュアル家庭版 せん妄

健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団)せん妄

高齢者の口腔ケアについて

Lets8020(8020(はちまるにーまる)財団)8020達成のために

半側空間無視について

脳科学辞典 半側空間無視

KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト 高次脳機能障害のリハビリテーション

食事形態について

健康長寿ネット(公益財団法人長寿科学振興財団) 常食から流動食の定義