放置されることが多い高血圧
血圧が高いですね」と、医師から告げられた方は多いと思います。
実際、20歳以上の男性の3人に1人、女性の4人に1人は高血圧 であるという調査結果が出ています。
ただし、高血圧は自覚症状が乏しいこともあって、健康診断などで高血圧を指摘されても放置されることが少なくありません。
そもそも高血圧とはどんな病気なのでしょう。
放置しているとどんなことが起こる可能性があるのでしょうか。
血圧とは何か
心臓はポンプとして、血液を血管に送り出しています。血液の通り道である血管の壁にかかる圧力が、「血圧」です。
血圧は、心臓が収縮しているときが最も高く、拡張しているときは最も低くなります。 前者は「収縮期血圧」または「最高血圧」と呼ばれ、後者は「拡張期血圧」または「最低血圧」と呼ばれています。
高い圧力で血管にダメージ
ホースに水を流し、水の出口を指でぎゅっと握ると、水は勢いよく飛び出します。水に圧力がかかるためです。
高血圧の状態もこれになぞらえることができます。
つまり血管が狭くなったり硬くなったりして、血管を流れる血液の圧力が高くなった状態が高血圧なのです。
血管に高い圧力がかかり続けると、血管がダメージを受けて傷みやすくなります。また、狭くなった血管に血液を送り続けようとするため、心臓にも負担がかかります。
高血圧が原因で起こる疾患
高血圧自体の症状は、気が付かないことがほとんどです。
ただし、高すぎる高血圧を放置しておくと、心不全、心筋梗塞など心臓の病気を引き起こすだけでなく、脳梗塞や脳出血を起こして半身麻痺になったり、腎不全を起こして人工透析が必要になったりすることもあるのです。
高血圧の怖いところは、症状がほとんどないまま進行し、ある日突然症状があらわれるところです。
高血圧の定義
高血圧治療の指針となる「高血圧治療ガイドライン2019」では、「高血圧症」の定義を収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上としています。ですが75歳未満の成人や、脳卒中などの脳血管障害を経験した方、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患の患者さん、慢性腎臓病(CKD)などの患者さんでは、降圧目標を130/80mmHg未満としています。
一方、75歳以上の高齢者については、140/90mmHgを降圧目標としています。
生活習慣の改善が第一歩
高血圧の治療は、食事や運動など生活習慣の改善が第一です。
改善するべき生活習慣としては、以下の6項目があげられています。
①食塩摂取制限
②野菜果物の積極的摂取、およびコレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限
③適正体重の維持
④運動療法
⑤アルコール制限
⑥禁煙
どの降圧薬を使っているかを把握して
生活習慣の改善に取り組んだ上で血圧が下がらなければ、降圧薬を使用した治療を行っていきます。
血圧を下げるための薬「降圧薬」には、さまざまな種類があります。どれも「血圧を下げる」という効果はありますが、種類によって作用(血圧を下げる方法)が異なり、副作用も違います。服用が禁じられている疾患がある場合もあります。
安全に薬を使用するためにも、自分がどのタイプの降圧薬を飲んでいるかきちんと認識しておきましょう。
「 高血圧」に関する信頼できる情報は?
e-ヘルスネット
高血圧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
栄養・食生活と高血圧
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html
高血圧症を改善するための運動
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-004.html
日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会/認定NPO法人日本高血圧協会/NPO法人ささえあい医療人権センターCOML編集
一般向け「高血圧治療ガイドライン」解説冊子 高血圧の話