脳梗塞

<監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:星野美穂>

脳梗塞につい

「脳梗塞」とは、脳の血管が詰まってしまう病気です。

「脳卒中」という言葉もよく聞くと思いますが、「脳卒中」は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れる「脳出血」などいくつかの病気をまとめた呼び名です。「脳梗塞」も「脳出血」も、どちらも脳にダメージを与えるため現れる症状は似ていますが、治療法が異なります。

脳梗塞の症状

脳の血管が詰まると、そこから先の脳の細胞に酸素や栄養を送ることができなくなるため、脳細胞が深刻なダメージを受けることになります。

脳梗塞の代表的な症状としては、からだの片側が麻痺したり(片麻痺:かたまひ)、舌がうまく動かずに発音がおかしくなる(ろれつが回らない)、言葉が出なくなる(言語障害:げんごしょうがい)、足元がふらついて歩けなくなる、などがあります。

治療が遅れると、こうした症状が残ってしまいやすく、寝たきりになる可能性も高くなります。

発症から治療開始まで4.5時間以内がカギ

脳梗塞は、発症してから治療開始までの時間が短いほど、後遺症を軽減できる可能性があります。特に、脳の血管に詰まった血栓(血のかたまり)を溶かして血流を再開させる、「血栓溶解療法(けっせんようかいりょうほう:rt-PA静注療法)は、4.5時間以内に開始する必要があります。

発症後4.5時間を超えた場合は、治療の効果が乏しくなり(※)、脳出血などの危険性が高くなるため治療開始可能時間が定められています。

※血栓溶解療法は、4.5時間以内に治療を開始することとされていますが、4.5時間を過ぎても血栓回収などの別の専門治療で回復の可能性は残されています。

発症後4.5時間を超えた場合は、治療の効果が乏しくなり(※)、脳出血などの危険性が高くなるため治療開始可能時間が定められています。

※血栓溶解療法は、4.5時間以内に治療を開始することとされていますが、4.5時間を過ぎても血栓回収などの別の専門治療で回復の可能性は残されています。


一刻も早く治療開始を

脳梗塞を発症した場合は、一刻も早く治療を開始することが、その後の回復に大きく関わります。下記のような症状が1つでも見られたら、一刻も早く救急車を呼びましょう。

【一刻も早く病院へ行ったほうがいい、脳卒中の症状】

・片方の手足の力がはいらない、片腕があげられない、立てない

・片側の顔がゆがむ、口角があげられない

・言葉が出てこない、思うように話せない

•ものが二重に見える

•口がもつれる(酔っぱらいのような話し方になる)

•めまいがしてふらつく

症状が消えた後でも受診は重要

上記のような症状が一時的に起きて、しばらくして消えることがあります。症状が出ている時間は、通常数分から30分程度ですが、1~2時間ほど続くこともあります。

これは一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ:TIA)と呼ばれるもので、脳梗塞の前触れで起こることがあります。TIAを起こした人は、起こしたことがない人よりも約10倍も脳梗塞を発症する可能性が高くなります。

脳梗塞かな?と思うような症状が起きたときは、その後症状がなくなったとしても医師の診察を受けることが大切です。

「脳梗塞」に関する信頼できる情報は?

一般社団法人 日本生活習慣病予防協会http://www.seikatsusyukanbyo.com/guide/cerebral-infarction.php

脳神経外科疾患情報ページ
https://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/105.html