<2023年7月夏休み職場見学会 / 序・跋文:上條和弘 / 本文 : 石井順子>
はじめに
~~持続可能な地域社会のために~~
これは、ドッコのメインテーマの一つ
これまでも、高齢者を中心とした地域住民と交流しながら啓発も兼ねた「地域づくり出前講座」を市内各地域で開催。
更に、医療系学部・学科に進学を希望する高校生に対して、地域医療を担っている医師、看護師、薬剤師がその活動を伝える場として「医療の集い」など様々な活動を展開してきた。
また、人口減少、少子高齢化社会の進む中、持続可能な地域社会をつくるためには、より若い世代への働きかけが必要不可欠と考えた。
昨年、上野原市内学校運営協議会(CS)*1が本格的に始動し、上條武雄院長が、ある中学校のCS協議会員に任命された。
CSの基本理念は、子どもの成長をまち全体で支えていく為「地域とともにある学校づくり」が求められ、学校・家庭・地域の情報共有をスムーズに行い、「育てたい子ども像」を共有して行く事。
上條武雄院長が副会長を務める「鄙の会*2」は「明るい豊かなまちづくり」を目的とし活動している。「鄙の会」には中に、「地域共生委員会」があり、その大きなプロジェクトのひとつである、“持続可能な地域社会を作る”理念とCSの基本理念が合致しタッグを組んだ。
- 地域の未来人材の育成
- 将来の仕事を決める為の一助
- 働くことの意義や喜びを知る
学校の夏休みの期間中に、中学生が市内の職場を見学・体験し職業観や、価値観を育む機会につながるよう市内26事業所へ働きかけて、受け入れ協力をいただきこうして「夏休み職場見学」が動き出した。
地域も子供も育ちあう夏休み職場見学
あなたは子供の頃、大人になったらなりたいものがありましたか?
どんな未来を夢見ていましたか?
「大好きな担任の先生みたいに、教師になりたい」
「人の役に立つ仕事をしたい」
「お母さんのように、いつもこどもの傍らにいてあげたい」
…周りの大人をロールモデルとして将来を考えていた子供達方が多いのではないでしょうか。
ところがそのような時代は終わりつつあります。今日では、少子高齢化社会の到来・経済の構造的変化、雇用形態の多様化や流動化などを背景に、将来が見通しづらくなっています。受験や就職活動は親の世代とは制度も傾向も変りました。グローバル化が進み、子供たちの進路環境も大きく変化しています。「親と同じことをしていれば将来は安泰」とは必ずしも言えない世の中になりました。
今の子供たちは、机上の勉強だけが優れていれば良い、というのではなく激しい社会の変化に対応する能力が求められています。自発的な行動や、自ら問いを立て答えを探すこと、探究的活動が重要視されています。
このような時代にこそ、子供たちには対面で社会的経験を積むことが大事だと考えます。
どうして社会と触れ合う体験が必要なの?
今の子供たちは、オンライン講習やバーチャル体験などの疑似体験や間接体験を多く経験する一方、社会体験や自然体験などが不足しています。親や先生以外の大人との接する機会も少なくなっています。
子供が社会と触れ合うことは、学校で学んでいる事と将来の繋がりを意識する体験です。
こういった経験が乏しいまま社会で働くと、人間関係が苦手と感じたり、戸惑う場面も多いことでしょう。
ですから、学生の間に社会と触れ合うことが必要です。
地域の子供は地域で育てる
社会と触れ合う体験というと何か特別なことのように身構えてしまいますが、子供たちにとって慣れ親しんだ生活の場と連続した営みです。だからこそ彼らにとってホームタウンで行うのが良いでしょう。
職場見学会は、地域の産業やそこで働く人々の素晴らしさ、大切さを発見することも多く、地元に対して愛着や誇りを持つこと、地域の活性化にもつながります。
子供たちにリアルな社会体験を届けたい…地域の想い
夏休み期間:令和5年7月21日(金)~8月22日(火)で実施
上野原市の未来人材に向けて地元の調剤薬局やお弁当屋、花屋に病院など26事業所の皆さんに体験の場を提供いただきました。
【参加事業所一覧】
病院・クリニック | 3 | 高齢者施設 | 4 |
障害福祉事業所 | 1 | 調剤薬局 | 2 |
郵便局 | 4 | 小売業 | 5 |
飲食業 | 2 | ゴルフ場 | 1 |
温泉施設 | 1 | 印刷工場 | 1 |
社会福祉協議会 | 1 | 建設業 | 1 |
計26事業所
【見学実績人数一覧】
病院・クリニック | 12 | 高齢者施設 | 16 |
障害福祉事業所 | 8 | 調剤薬局 | 4 |
郵便局 | 1 | 小売業 | 19 |
飲食業 | 7 | ゴルフ場 | 3 |
温泉施設 | 15 | 印刷工場 | 2 |
社会福祉協議会 | 2 | 建設業 | 0 |
生徒より102件問い合わせがあったが、事業所の都合等の理由で見学見送りもありました。
わくわくドキドキ、体験はこんな所から始まっています!
今回行われた【夏休み職場見学会】は89名の中学生の皆さんが参加して下さいました。
皆さんには自ら興味ある事業所を選んで頂き、自分で電話をかけて予約してもらいました。それだけでも緊張する体験だったかもしれません。
「電話をしたからといってすべての要望が通らないということ」
「緊張してうまく話が出来なかった」等…
人との触れ合いや交流を通して、異世代とのコミュニケーション能力を高めるとともに、社会人としての基本的なマナーや言葉遣い等考えるきっかけになったことでしょう。
見学会当日は、協力事業所で実際の業務を体験していただきました。
8月17日の山梨日日新聞に掲載されました。
職場見学会を終えて、素敵な感想をいただきました。
協力事業所からは、「職場見学の生徒が就職したいと言ってくれ、仕事に興味をもってくれたこと、体験が次に繋がりうれしい」などの声をいただきました。
中学生の皆さんは体験を通じ、将来を考えるきっかけを得られたようです。
「社会の大変が身をもってしれた」
「自分の好きなことをする事が大切だと気付いた。」
「周りの人にやさしく接する事」
「ただ働くだけでなく熱意をもって取り組みことが大切」
「働く中で重要なのはコミュニケーション力と礼儀だと思う」等の感想をいただきました。
普段何気なく接している地元の皆さんの大変さを実感したり、努力する姿を目にしたことが心に残った様子でした。
ご協力いただいた26事業所様、市民の皆様、暖かく見守って頂きありがとうございました。
今回の見学は、生徒が直接働く人と接することにより、また、実際的な知識や技術・技能に触れる事を通して、学ぶことの意義や働くことの意義を理解し、生きる事の尊さを実感させることが求められており、重要な機会になったのではないでしょうか。
あとがき
「中学生夏休み職場見学」は、私も鄙の会理事として、また地域共生委員会の一員として企画し主導。各中学校CSへ提案し、行政(上野原市教育委員会)を巻き込み、市内26事業所の協力を得て実施する事が出来た。この企画を今後も継続することが出来れば、地域での人材育成にもつながるのではないか。
準備期間が限られる中、私自身で市内中学校へ出向き趣旨・企画内容を説明し、またこの企画へ賛同いただいた事業所も廻り、中学生の受け入れ協力を得られた。本来であれば、もっと多くの企業へ協力依頼をしたかったが一人での活動では行き届かなかった。
今後の希望としては、学校・地域・行政・企業・団体がひとつとなり「中学生夏休み職場見学実行委員会」(仮)を設立し、この活動を地域に根付かせ持続可能な地域社会の実現を目指して行きたい。
※1上野原市内学校運営協議会(CS)
子どもの成長をまち全体で支えていくため、学校・家庭・地域が連携・協働する仕組みを構築し、子どもや学校の抱える課題解決等に取り組み、「地域とともにある学校づくり」が求められ、「コミュニティ・スクール」を通じて、学校・家庭・地域の情報共有をスムーズに行い、「育てたい子ども像」を共有し、目標の実現に向けて連携・協働していく。戻る
※2一般社団法人まちづくりプラットフォーム鄙の会
鄙の会とは、桂川流域(上野原市・大月市・相模原市)の住民として、その地域の共通した問題点を把握し、地域資源の開発と価値の共有をはかることで地域の協働体制を構築し、
「明るい豊かなまちづくり」を目的とし活動しています。戻る
主な活動事業:桂川フェスティバル、上野原駅前イルミネーション
HP 一般社団法人まちづくりプラットフォーム鄙の会